人気度
初心者向き
お手入れの簡便度
犬といえば!で思い浮かぶ人も多い大人気犬種「柴犬」。飼育頭数はとても多いのですが、室内飼いが多くなった現代では様々なトラブルやミスマッチが起きてるのも事実…!柴犬が日本人と過ごしてきた歴史や性格、身体的特徴をよく理解してから飼うようにしてね。
犬種の歴史
柴犬は日本産の犬、いわゆる和犬の中で最も小型で、また最も人気のある犬種です。その歴史は古く、紀元前500年の縄文時代の遺跡からこの犬の先祖とみられる犬の骨が発掘されたことがあります。その後3世紀になると、海を渡ってやってきた外国産の犬と交配され、立ち耳と尖った顔、巻き上がった尻尾という典型的なスピッツ犬種に改良されていきました。7世紀までにはすでに日本文化の一部として認められていたと言います。その後、国内で地域ごとに特色ある柴犬が登場するようになり、長野県では信州柴、岐阜では美濃柴、山陰地方では山陰柴などと呼ばれるようになりました。柴犬は猟犬としての全盛期には地上に巣をつくる鳥など、小型の獲物を得意としていましたが、時にはイノシシ、シカ、クマなどの猟にも役立っていました。1920年代には外国産の洋犬が流行し輸入が盛んになったおかげで、柴犬の数は減少していきました。これに憂慮した猟師たちが1928年に日本古来のこの犬を保護しようと活動を始めます。1934年には犬種スタンダードが統一され、1937年には天然記念物に指定されます。その後、第二次世界大戦を経て柴犬や美濃柴や山陰柴は激減してしまいましたが、比較的残っていた信州柴を中心に柴犬の復活計画が立てられることになります。それから綿密な繁殖計画が立てられ、間もなくその数は安定していきました。日本犬は甲斐地方の甲斐犬や、北海道の北海道犬など産地の地名が犬種名になっていますが、柴犬は戦後、各地に残存していた小型をまとめたものなので産地の名前を付けられていません。柴犬の復活は日本犬保存活動の最大の成果でもありましたが、惜しくも産地色を失った例でもあります。20世紀後半には日本犬の中で最も人気のある犬種となり、オーストラリア、アメリカ、ヨーロッパでも人気が高まっています。
1943年(昭和18年)、甲府の坂口仁氏の家で小型の子犬、紅子がひっそりと産まれました。父犬アカ号、母犬は山陰から移入したハナ号。当時は戦争中で犬を飼うこと自体がほぼ不可能だった時代に、肩身の狭い思いをしながらなんとか生き延びた犬たちでした。このアカー紅子の血が、戦後の柴犬の復活を担うことになります。
柴犬はどちらかというと本来の原始的な活力、犬らしい本能をありのままに猟に活用されてきました。その土地の地形や人間の生活、文化の進化に合わせて人の指示を正確にきくために様々な犬と交配して作出された洋犬とは対照的な部分です。この特徴が家庭犬(ペット)として飼った時に「独立心がある」「頑固」という言葉で表されるところです(詳細は下部参照)。
性格の特徴
特に子犬~若犬の頃は活発でエネルギーに溢れているため、日々の運動は欠かせません。しつけにおいては、初めのうちから家庭内のルールを一貫性を持って教える事が大事です。自分自身で状況を判断して行動する独立心を持っているため、曖昧さを持った対応をしてしまうとルールは無視しても良いものと学習してしまいます。また一度良くない学習をしてしまうと持ち前の頑固さで再学習に時間と労力がかかるので大変です。その場の感情で叱ったり体罰を使いながら訓練しても余計に犬からの信頼を失ってしまいます。犬の行動を先読みしながら落ち着いた対応でトレーニングしていきましょう。また、番犬としても活躍していたため警戒心を持ちやすく、知らない人や他犬にそれほど興味を持たないことが多いです。興味を持たないだけなら良いのですが、警戒心から吠えや咬みが出ないように、子犬の頃に基本的な社会化トレーニング、環境馴致(慣れる)トレーニングは必要です。
柴犬は自分の体を束縛されること、触られることが苦手な子がとても多い犬種です(この点も人が扱いやすい様に改良されてきた歴史を持つ洋犬との対照的な違いです)。そのため抱っこ、ブラッシング、歯磨き等、日々のグルーミング(お手入れ)、首輪・リードの脱着、足ふきの時に嫌がってできない…というケースが非常に多いです(嫌がるというのは怒って咬む=出血する咬傷を含みます)。お手入れの簡便度はこの辺りも考慮して評価しています。
日本の昔ながらの庭で外飼いをする飼育方法だと、上記の事をする必要が無かったため、問題ではありませんでした。室内飼いが増えてきた昨今では、柴犬のこのような問題行動に悩まされる飼い主さんが多くいます。お手入れも診察も、現代のペットとしては必要な処置のため、たとえ苦手でもなるべく本犬のストレスを軽減させてあげられるようにしつけをすることをおすすめします。子犬の頃から、ボディタッチ、体をしばらく拘束される抱っこ、グルーミング(お手入れ)に慣らす練習をしましょう。初心者さんはドッグトレーナー等、専門家にアドバイスをもらいながらトレーニングしてくださいね。
たまにだけど、柴犬を抱っこ犬の様に飼いたいと言う飼い主さんがいるよ。そりゃあ、彼らにとってはお門違い…!膝の上に乗せていつでもヨシヨシできる犬を飼いたい人は、柴犬ではなく、はるか昔から上流階級の抱っこ犬の役目を果たしていた超小型の愛玩犬が向いているよ。自分が愛犬に何を求めるか、その犬種が作られた歴史的背景を考えながらマッチングする犬を選ぼう!
身体的特徴
たくましく筋肉隆々の体に、直立耳と尖った顔、くるっとした巻き尾は、柴犬のタフでサバイバル精神に溢れた特徴をよく表しています。キリっとした精悍な顔立ちをしており、雨にも風にも負けない丈夫な体をしています。
犬種スタンダードでは被毛は赤、黒褐色、胡麻、黒胡麻、赤胡麻の5色(スタンダードからは外れますが白の柴犬も存在ます)。あご、胸、おなか、脚の内側が白い裏白であること。ダブルコートのため、抜け毛は非常に多いです。また、少し脂っぽいため、他の犬種に比べると多少においのある犬種です。抜け毛とにおいに神経質にならず許容できる方が飼い主さんには向いています。
こまめなブラッシングが必要ですが、ケア嫌いになってしまうとブラッシングを嫌がる子も多くいます(上記参照)。子犬の頃からお手入れに慣らすしつけと、正しいブラッシングの仕方を飼い主さんが身につけましょう。
特に室内飼いをしているとにおいが気になる方がいるようです。シャンプーで改善されますが、洗いすぎには注意。良かれと思って洗いすぎてしまうと、必要な油脂分まで取りすぎることになり余計に脂が出る、または乾燥しすぎて皮膚トラブルを引き起こす原因になります。月1回程度にとどめてね(そもそも柴犬は水に濡らされるのも苦手な子が多いよ)。
犬種名 | 柴 柴犬(Shiba) |
原産国 | 日本 |
大きさ | 小型犬 |
抜け毛の量 | 多い |
最低運動量目安 | 30分×2回/日 |
平均寿命目安 | 12~15歳 |
体高 | ♂40±1.5cm ♀37±1.5cm |
体重目安 | 7~11kg |
犬種グループ | 5G 原始的な犬・スピッツ(spitz and primitive types) |
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