コーイケルホンディエ

人気度　　 　　　　

初心者向き　　　　

お手入れの簡便度　

犬種の歴史

コーイケルホンディエまたはコイケルホンドと呼ばれ、原産地名はネーデルランド・コイケルホンディエ（Nederlandse Kooikerhondje）という。起源は16世紀に遡る古い犬種であり、1頭のコーイケルホンディエがオレンジ公ウィリアムの命を救ったことがあるという逸話があります。ある晩、何者かが宮殿に忍び込んできた時、それを察知したコイケルが激しく吠えたてたので、オレンジ公は目を覚まし運よく逃げ出すことができたという話です。この犬種はフェルメールやヤン・ステーンを含む17世紀オランダの巨匠の絵画作品に数々登場する程、ポピュラーな犬種でしたが、20世紀になると第一次世界大戦と第二次世界大戦の二度の戦災により、ほぼ絶滅の危機にさらされることになります。この危機からこの犬種を救ったのはハルデンブロック・ファン・アメルストルという男爵夫人。コイケルのために緊急の繁殖プログラムを計画し、生き残ったコイケルをオランダ中で探しました。オランダ北部でこの犬のオス1頭と、メス2頭を見つけ出し、繁殖を始め、1943年には初めての子犬が産まれます。第二次世界大戦終戦直前の1945年にはコイケルの頭数は25頭まで増えました。1967年には専門の犬種クラブが設立され、1971年にオランダ・ケネルクラブが公認。20世紀末の段階で、毎年500頭の子犬が産まれるまでに回復しました。

水の国オランダで、水鳥猟を助けるのがこの犬種の作業役割です。ヒラヒラとした美しい尻尾（下部写真参照）で水鳥を誘き寄せるユニークな作業犬です。金網を張ったカナル（運河）の一端で鴨の餌付けをする。人慣れしたこの鴨を囮に、渡りの途中で立寄る鳥たちを誘き寄せます。鴨の群れが一休みしに降りてくると、コーイケルホンディエが岸辺に現れる。体は丈の高い草に隠れたまま、ふわりと尻尾を掲げ、行ったり来たりしてヒラヒラさせる。好奇心が強い鴨はその動きに魅了され近づいてくる…人慣れした鴨達は、犬が居るならば人も来て餌を貰えるはず、と他の鴨を先導して狭い水路に入っていく。ハッと気づけば何十羽という鴨が仲良く網の中。（これと似た猟法を行う犬にはもう一種、ノヴァ・スコシア・ダック・トーリング・レトリバーという犬がいます。）水鳥を集めるための水路の仕掛けは、伝統的に「デコイ」と呼ばれます。オランダに現在残されている120のデコイは、今や自然史文化財ともなっており、自然保護団体などによって大切に保存されています。現代のコーイケルホンディエはほぼ100％家庭犬ですが、この残されたデコイで昔ながらの職業を続ける犬もいます。オランダの国営公園のフェスティバルで、デモンストレーションをすることもあるようです。

性格の特徴

明朗活発で賢く、注意深い犬種です。明るく朗らかで活発な遊びを好みます。ボール遊びや引っ張りっこ遊びを意欲的に行い、アジリティ競技やディスク競技などドッグスポーツの場面でも活躍できる犬です。飼い主とのコンタクトも取りやすいので、様々な訓練・トレーニングを容易にこなしますが、反面、興奮しやすく動きも素早いため、きちんと犬のテンションをコントロールし動きについて行ける飼い主が望ましいでしょう。初心者飼い主でも飼えますが、犬のために時間を割くことに喜びを感じ、飼育方法や訓練について勉強熱心な人であることが求められます。性格は神経質なところがあるので、吠えやすく、見慣れない存在や環境にビビりやすい性格をしています。子犬の頃から念入りな社会化トレーニング、環境馴致（慣れる）トレーニングを行い、順応性を高める育て方をしましょう。

見た目の特徴

純白の白地にオレンジレッドのはっきりした斑と、はっきりしたブレーズ（目と目の間からマズルに向かって走る白い斑）が望ましい。ミディアムロングで、ややウェービーな柔らかい被毛を持ちます。アーモンドアイの優しい目と優雅な飾り毛の尻尾、耳のフリンジは黒く長く伸びているのも特徴で、美しい犬と人々を言わしめます。足元と耳の飾り毛や尻尾が絡まりやすいので、細目にブラッシングして毛玉ができないようにしましょう。

Photo gallery