サルーキ

人気度　　 　　　　

初心者向き　　　　

お手入れの簡便度　

犬種の歴史

アジア大陸原産に分類していますが、正確には中東エリアが原産の犬種です。

サルーキは純血種としては世界で最も古い犬種の一つと言われます。多くの狩猟犬が原産地から先進国に連れてこられ、見かけを大きく作り変えられてしまいましたが、その中でもサルーキは、今もオリジナルな状態をほぼ保っている数少ない犬種です。かつての機能美がそのまま残されているということであり、いかにも健康的な犬種です。

シュメールの遺跡から発掘された紀元前7000年の彫り物にもこの犬が描かれており、その歴史は果てしないほど昔に遡ることがわかります。エジプトの王室の犬として数多くの壁画や彫刻に登場し、王室美術から紀元前3000年まで辿ることができています。狩りのお供として非常に大事にされていたようで、犬が死ぬと飼い主は悲しみに暮れていたとか。死んだ犬は飾りがたくさんついた首輪をつけられ、ミイラにすることもあったようです。ツタンカーメンの墓には、王の周りにハウンド犬が描かれていますが、描かれている犬はサルーキと考えられています。

イスラム教徒からは高貴な犬として崇められ、コーランにも「サルーキは犬ではない。私たちの必要と喜びのために、アラーがお恵みくださった賜物である。」と記述されています。ガゼル・ハウンドとも呼ばれ、ガゼルやウサギ、キツネ等様々な動物の狩猟に使われてきました。狩りの流れはこうだ。ラクダか馬に犬を乗せ、狩人は腕に鷹やハヤブサを停まらせて出発。鷹を放って空中から獲物を探させ、ガゼルの群れを見つけると旋回を始めて居場所を知らせる。狩人はここで2～6頭の犬を向かわせる。その距離6～7km離れていることも珍しくない。鷹やハヤブサが空から襲撃してガゼルのスピードを遅くしている間にサルーキが追いつき、獲物がヘトヘトになったところで倒す（獲物が大きければその後に追いついた狩人がとどめを刺す）…。決してチーターの様な瞬発力勝負の短距離ランナーではなく、そこそこの中距離を走ることを求められていた狩猟犬になります。

性格の特徴

適切な運動が与えられていれば、室内では静かにリラックスしていることが多い犬種です。一旦、何か気になることを見つけてスイッチが入ると猛スピードで走り回ることも好きで、オンオフがはっきりしているでしょう。人に対してかまって攻撃が少ない分、他の犬種の様に「さ、次は何をすればいいでしょうか！？」と指示を求めたり、共同作業を求めることも少ないという意味なので、独立心が高く、コマンド（指示）を聞きづらいと言われることも。牧羊犬や鳥猟犬等の他の狩猟犬は、人の指示に従いながら作業するように改良されてきたのに対し、サルーキは自ら考えて獲物をひたすらに追いこむ作業をしてきたので、それは犬種の歴史からの特性とも言えます。そのため、ドッグスポーツで上位を狙うような、人と犬の濃い連携を求める飼い主には少しイメージが異なる犬種かもしれません。とはいえ、もちろんサルーキでもドッグスポーツを楽しむことはできます。アジリティだってやれるし、サイトハウンド用のドッグスポーツだって存在していますよ。そういったサルーキ（サイトハウンド）の特性を理解して好む飼い主さんに向いた犬種です。

見た目の特徴

流線形の無駄のない体と細長い頭部、長い脚。バランスを取るのに都合の良い尾。走るという機能に徹した完璧なボディフォームを持ちます。上記の犬種の歴史にある通り、中距離耐久ランナーであるサルーキは、同じサイトハウンドグループの中でも独特の見た目をしています。グレーハウンド等のスプリンターの前肢は比較的直立状になっており、この方が肩甲骨の傾斜が浅いので瞬時に加速がつけやすくなります。対してサルーキは耐久性を優先させるので緩やかに角度がつきます。

サルーキは北アフリカからアラビア、イラン、トルコ、アフガニスタンにまたがる地域を原産地としており、広大な地域に渡って分布するため、それぞれの地形と獲物に適した様々な体躯のサルーキが存在します。そのため、FCI(国際畜犬連盟)でもスタンダードで固めず様々なバリエーションが存在することを認めています。カラーは全ての色が認められ、被毛はスムース（短毛）タイプとバラエティタイプ（ロング）に分かれます。バラエティは耳、尾、脚に飾り毛を持ち、多くのサルーキがこのタイプになります。

Photo gallery